人生の終わり方
手術をすれば5年生存率3割。なにもしなければ1年。
……と言われて,1年でもいいんですけど,と答えてしまいました。
口の中,舌がおかしいと気づいて病院に行ったときのことです。
もう十分人生を歩んできましたから,あとはどう始末するか,という時期にきています。自分では選べないものの,できれば穏やかな終わり方をしたいとは思っていました。
それが「がん」であれば,手術やら放射線治療やら抗がん剤やらの治療がつぎつぎにあり,体も家計もよれよれになっていく……んじゃないでしょうか。けっして「穏やか」ではないでしょう。だったら,なにもしないであっさり済ませてしまうという手もあるんじゃないか,と。
ただ,なにもしないと「あっさり済ます」とはいかないのかも。
苦痛で七転八倒するのかも……。
すでに物が食べづらくなっていて,食べられないぶん体重も減っていましたし,病院に行く気になった時点で「なんとかなるならなんとかしたい」という気持ちがあったはずです。手術を断るという選択肢は,端から(はなから)なかったとも言えます。
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